製造業は他業種に比べ原価率が高く、約80%を占めると言われています。そのため製造に
かかわるコスト意識を高く持っておく必要があります。
コスト削減において最も重要視して取り組まなくてはならないのは成形不良を無くすことです。生産性を上げようと成形サイクルを短くして成形不良を出していては元も子もありません。成形不良を出さないためにも成形不良について理解しておく必要があります。
今回は成形不良の1つである「ショートショット」についてご紹介します
ショートショット
ショートショットとは成形材料が金型に充填しきらず成形品の一部が欠けた状態になることを言います。成形のトラブルとしては最悪のものと言えます。ただし、成形中に突如発生するといったことは少なく、ほとんどの場合は金型か射出成形機の基本的な成形条件が適していない場合が多いです。射出成形機に問題がある場合は最大射出量の不足とか最大射出圧力が十分でないことが多く、機種の選定の誤りといってよいでしょう。
金型に問題がある場合は完成した金型のトライ(試し射ち)の時に発生するのが通常のケースです。成形中に突如充填不足になる時は射出成形機のノズルと金型のタッチ面から材料漏れとか、射出成形機の射出装置のハンドヒータの断線とか装置の異常状態が多いです。
下記の表にショートショット発生原因と対策をまとめております。
★空気・ガスの閉じこみによる発生
上記のイラストは成形品のスリット形状が原因で成形過程でエアを閉じ込めてしまう例になります。この場合、いかに高圧射出しても、この部分だけショートショットになることが多い。この場合、対策としてはなるべくこういった形状を避けることが賢明ですが、どうしても避けられない場合はガス抜き入れ子、ピンなどを使って対策をする必要があります。
金型キャビティに射出された溶融プラスチックは先住民族のエアをパーティング面から押し出しながら充填する。射出の速度が大きすぎるとエアが抜けきらないうちにプラスチックが固化しはじめ、ヒケ、ショートショットになったりします。
射出の速度が上げられないとなると射出圧力が充填の主役を務めることになりますがこの圧力は成形材料と成形品の形状によってある程度決められています。
それらを下の表にまとめました。
※表中のキャビティ内圧は各種の成形品の成形に必要な圧力の概略値であり、射出シリンダ圧力はキャビティ圧力を確保するために必要な射出成形機側最高射出圧力になります。
両者の間にかなり数値上の差があるのは射出成形機圧力は金型キャビティに達するまでに流動損失と冷却による粘度増加のため大きく低下するためである。成形品別に必要な射出成形機側圧力は表にあるようにそれぞれ異なる。また、表示されている数値に幅があるのは成形品の形状と要求精度及び大きさによって一概に決められないからである。
射出圧力・・・射出成形機側の圧力。この圧力が不足すると成形不可能の状態になる。
したがってこの圧力は成形の基本条件となる。
キャビティ内圧・・・金型側の数値であるが、これから必要型締力の算出ができる
下記の図は射出成形機と金型間の溶融プラスチックの圧力分布図である。プラスチックの種類と成形品の寸法形状によりこの分布は変わってくるが大体このような形となる。
図中のA~Dはショートショットの状態である。E,E´は圧力が保持できる状態であるので材料は金型内に高密度で充填できる。
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