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SANKO GOSEI

ハイサイクル成形技術の革新とその可能性:効率化への挑戦

更新日:12月16日

製造業界において、製品の生産速度を上げることは競争力の向上に直結します。その中で注目されているのが「ハイサイクル成形技術」です。この技術は、成形サイクルを大幅に短縮し、生産性を飛躍的に向上させる手法として注目されています。この記事では、添付資料を参考に、ハイサイクル成形技術の概要、実施例、メリット、課題について解説します。


ハイサイクル成形技術とは?

ハイサイクル成形技術とは、従来よりも短いサイクルタイムで製品を成形する技術のことです。短時間で高品質な製品を製造するため、冷却、充填、金型設計の最適化が求められます。

目的

  • 生産サイクルの短縮

  • 生産効率の向上

  • コスト削減

基本アプローチ

  1. 金型設計の改良

    • 冷却回路の最適化。

    • 金型剛性の向上。

  2. 成形プロセスの見直し

    • スライド機構の高速化。

    • ランナーレス成形の採用。

  3. 設備の高度化

    • 高速成形機の導入。

    • 自動取り出し設備の整備。


ハイサイクル成形の実施例

ハイサイクルにて成形した樹脂製品

事例として、三光合成が取り組んだIMARI TUBE製品のハイサイクル化について紹介します。


成形サイクル短縮のステップ

  1. ステップ1:

    • 目標:15%短縮

    • 実施内容:金型冷却回路の見直し。

    • 成果:サイクルタイム74秒 → 65秒(1型あたりの生産数:42K/月 → 48K/月)。

  2. ステップ2:

    • 目標:50%短縮

    • 実施内容:スライド作動方法の改良。

    • 成果:サイクルタイム74秒 → 35秒(1型あたりの生産数:42K/月 → 90K/月)。

  3. ステップ3:

    • 目標:67%短縮

    • 実施内容

      • 油圧シリンダーの見直し。

      • 金型鋼材の変更(HPM50 → BE255)。

      • ホットランナーのバルブ方式への変更。

    • 成果:サイクルタイム65秒 → 20秒(1型あたりの生産数:48K/月 → 158K/月)


ハイサイクル成形のメリット

  1. 生産性の向上

    成形サイクルの短縮により、同じ時間でより多くの製品を製造可能。

  2. 設備利用効率の向上

    生産設備の稼働率が向上し、新規設備投資を抑制可能。

  3. コスト削減

    短納期対応が可能になり、全体的な生産コストを削減。

  4. 環境負荷の低減

    ランナーレス成形の採用により、廃材の削減が実現。


ハイサイクル成形の課題と対策

1. 設備コストの増加

ハイサイクルに対応した射出成形機

高速成形機や専用金型の導入には初期投資が必要。

対策:長期的な投資計画を立て、費用対効果を最大化する


2. 金型の耐久性

ハイサイクルに対応した金型構造

高速成形に伴う高負荷で金型の摩耗が進行。

対策:耐摩耗性の高い鋼材を採用し、メンテナンスを強化。


3. 品質の安定性

高速成形による充填や冷却の不均一が発生する可能性。

対策:CAE解析によるプロセスシミュレーションで最適化を図る。


まとめ

ハイサイクル成形技術は、生産性向上やコスト削減に大きく貢献する革新的な手法です。三光合成のIMARI TUBE事例では、サイクルタイムを67%削減し、生産効率を3.7倍に向上させるという成果を上げました。この技術は、製造業界全体での競争力強化に寄与する可能性を秘めています。

今後もハイサイクル成形技術のさらなる進化と普及により、製造業界の効率化が一層進むことが期待されます。

ハイサイクルにて量産実績のある製品(プリンター機器)

ハイサイクルにて量産実績のある製品(プリンター機器)

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