加水分解と熱分解はプラスチックにとって大敵である。
加水分解を受ける物質は数多くあり、酸無水物。酸塩化物、ハロゲン化メチル化物、有機金属化合物などは容易に加水分解されます。ポリカーボネート、ポリアミドなどは注意を要する。
また、プラスチックを加熱していくと単なる変形にとどまらず、見かけ上なんら変形を起こすことなしに高分子を構成する各原子間の化学結合が酸化分解や熱分解により切断し、化学構造の変化を起こし始める。
分解は分子量低下を招き、強度低下に直結する。図1はポリカーボネートの溶融温度と時間、および乾燥の有無と分子量の関連を示したものである。
乾燥した材料は300℃では長時間安定しているが、これ以上の温度で未乾燥の吸湿したものは時間とともに分子量が非常に低下することを示している。
同じく図2はポリカーボネートの例で環境温度別の分子量と衝撃強度の関連である。
ポリカーボネートの特徴は他のプラスチックと比較して抜群に衝撃強度が高いことであるが、分子量が2万を下回ると衝撃に非常に弱くなりポリカーボネートの特徴を全く発揮できなくなる。
樹脂の分解挙動はランダム分解と解重合の2種あり、前者は分子の鎖が切れて分子量が徐々に低下する。PE,PP,ABS,PA,PC,PPEなどである。
後者は分子の末端から切断が始まり、急激に進行する。PMMA,PS,POMが該当する。
熱安定剤はこの進行防止のためのもので、ある種の着色剤が分解を助長することがあるため、注意が必要である。
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