私たちが扱う射出成形用金型は以下の交換手順に従って交換されます。
1.金型のつり上げ
①金型の重心を確認する
②固定方法、冷却水ホースニップル方向との関係により、アイボルトのねじ込み面を確認する
③アイボルトが緩んでいないか確認する。アイボルトのねじ部が全ピッチねじ込めない場合はワッシャーなどを挟み、アイボルトが緩まないようにする。
④クレーンのつり代を考えて、適当な長さのワイヤーロープを用意する。Vベルトや麻縄は危険であり、使用不可
⑤アイボルトリングにワイヤーロープを通し、ワイヤーロープにクレーンのフックを引っ掛ける。アイボルトリングにワイヤーロープが通せない場合は、玉掛基準に適合した方法を採用する。
注意事項
アイボルトリングに直接フックを引っ掛けることは絶対に避ける。クレーンに異常負荷がかかった場合、アイボルトのねじ部が予兆なしに破断する。ワイヤーロープを使用すればロープが伸びて(ワイヤーがほぐれる)危険を事前に感知できる。アイボルト、シャックル、ワイヤーなど玉掛用品は定められた以上に損傷したものは使用しない。
つり上げる瞬間、移動の瞬間及び停止時には、特に負荷がかかり落下の危険があるので注意する。
2.機械への挿入及び固定方法
①機械プレート間の真上につり上げ、移動プレートの縁に金型をすべらせる様にして徐々に挿入する。本体やホースニップルでタイバーやプレートが損傷しないように気をつける。
(図1①)
②金型ロケートリングと、機械のロケートリング孔を合致させる。(図1②)
ロケートリングの無い場合には、特殊操作としてノズルを固定プレート面より5mm程度出して、これに金型のスプルーブッシュを合わせる。ただし0点調整後(トグル式のみで直圧式では金型の密着後)はノズルを後退させる。また、この場合でも必ずノズルタッチ調整は実施する。
③低圧・低速にて型厚調整方法により型厚を小にし(トグル式)、プレート間隔を狭める
この時、金型とプレートの平行、垂直調整も行う。また、ロケートリング合致後はクレーンを若干下げ、ロープの張りをゆるめておくと安全である。(図2)
④この時点にて型締め力設定の0点調整を行う。(トグル式)金型密着後、増締め量調整の基準点を決める。これを0点調整と称す。
⑤金型の固定方法として、取り付け板に固定用孔のある場合は、直接平ワッシャーとスプリングワッシャーを併用して締め付ければよい。その他の場合は(金型固定に使用する松葉状部品)、ボルトのねじ込み深さは鋳物プレートでボルト径の1.5倍(鉄板は1.3倍)以上とする。通常は1.7倍(鉄板は1.5倍)程度でよい。必ず最後に増し締めする。(図2)
その他の注意事項
①生産終了後金型は、錆止め、冷却穴の水抜きを行ってから金型置き場に保管する。
②エジェクタ―ロッドはエジェクターストロークを考慮して交換する
③油圧、エアコアのある金型はコア作動回路をセットしてから型開きをする
④スライドコアのある金型は作動タイミングを考慮してセットし、型の開閉を行う。
⑤金型開閉の低速切り換え位置は、型構造を考慮して設定する。
とても参考になりました。