射出成形で使われる金型には色々な構造があり、作りたい樹脂成形品の形状や材料などで選定されている。今回は金型の基本形と言える2プレート金型の構造と使われる部品の名称、役割について紹介します。
まず、2プレート金型はキャビティ(固定側)とコア(可動側)の2つのプレートの内部に樹脂を流し込み、成形します。樹脂を流し込むためのスプルー、ランナー及びゲートは樹脂の成形品と一体になっています。
2プレート金型の構造は上記のようになっています。
各部品の名称と役割
スプルーブシュ:成形機から出た樹脂が最初に通る道。成形機のノズルが繰り返しタッチし、摩耗するので金型に直接彫り込まず、交換できるようになっている
ロケートリング:金型中央と成形機中央とで位置決めを行う。リング形状で固定側取付板よりも凸形状になっている。こちらも交換できるようになっている
ガイドピン・ガイドブッシュ:キャビとコアの位置決めを行う。量産にも耐えられるように耐摩耗性が高い材料で作られている。
冷却水管:金型温度を一定に保つための管。水が使われるのが一般的だが金型温度が高い場合は油を使うこともある。
突出しピン:成形品を金型から突き出すためのピン。突出し板に固定されている。
リターンスプリング:成形品を突き出した後、取付板を元の位置に戻す役割を持つ。
リターンピン:なんらかのトラブルで突出しピンが出たままになった時にピンでキャビ側を傷付けないためのピン。突出しのバランスを保つ役割もある。
固定側取付板:成形機に取り付けるための板。キャビ(固定側型板)まで接続されている。
固定側型板:成形品のキャビ側の形状が彫られた板。入れ子式になっている場合がある
可動側型板:成形品のコア側の形状が彫られた板。入れ子式になっている場合がある
受け板:可動側型板の剛性を補う。コア側は形状的に冷えにくい場合があり、追加で
冷却水管を通す場合もある。
スペーサーブロック:突出し板が可動する空間を保つための板。
突出し板:突出しピン、リターンピンを固定する板。
可動側取付板:成形機に取り付けるための板。コア(可動側型板)まで接続されている
2プレート金型は構造がシンプルなので製造コストが安いメリットはありますが、ランナーおよびゲートが一緒に成形されてしまうのでカットする作業の追加、更に廃棄する材料も出てくるので成形する数量などによっては構造が複雑になりますが、ホットランナー等を検討する必要もあります。
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