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射出成形:箱形状の成形品における成形条件の出し方

更新日:6月12日

成形条件の出し方

今回はPS(ポリスチレン)の材料を使って箱形状の成形品の条件出しについて紹介します

ポリスチレンで成形された箱形状の成形品

1.材料の予備乾燥

使用する材料によって予備乾燥が必要なものもあるので確認しておく。

吸湿性が高い材料を予備乾燥させないまま成形機に入れると水分が気化し成形品内部にボイドとして混入する不良の原因となる。

乾燥を必要としない材料でも寸法安定性や品質の管理に効果があるので量産を想定する場合は予備乾燥させておくことが推奨される。

今回使用するPSでは約80℃で2時間程箱型乾燥炉を使って乾燥させた。


2.パージ

成形機に乾燥した材料を投入する前に成形機のシリンダー内に前の成形で使用した材料が残っている可能性があるので洗浄するためにパージ材を使ってシリンダー内とスクリューの洗浄を行う。

※前の成形で使用した材料の色と今回使用する材料の色が異なる場合、色むら等の原因にもなるので念入りにパージを行う。

また、ホッパー内にも前の材料が残っている場合があるのでエアーやウエスで掃除し常に異物が混入しないよう注意を払っておくこと。


3.1次圧のみでの成形

 シリンダー温度の設定

ノズル:190℃ 前部:200℃ 中間部:190℃ 後部:180℃


 成形品容積の計算

 下記の条件を設定する(計量値1mmがプラスチックの1ccに相当する場合)

回転数:50% 計量値:●●mm 背圧:10% デコンプ:1mm 射出速度:50% 1次圧:30%

金型温度:40℃


 計量値はおおよその計算値よりも必ず低い値に設定しておく(ショートにしておく)

 背圧とは射出機のスクリューが後退する際に溶融したプラスチックにかかる圧力のことを

 指します。この背圧は、溶融プラスチックの混練や均質化を目的として設定されます

 背圧が低いと十分な混練が行われず、材料の均一性が損なわれる可能性があります

 また、気泡が残りやすくなり、成形品の品質が低下します。

 背圧が高いとスクリューの後退が遅くなり、サイクルタイムが長くなります

 また、材料の過剰なせん断熱によって温度が上昇し、材料の分解や劣化が起こる

 可能性がありますのでまずは低い値から設定を行います。

 

これらの設定で出てきた成形品の容積や流れの状態を確認する。

 ➡計量値を少しずつ増やし、金型形状で充填できるようにする。


4.2次圧(保圧)を加える

 保圧とは溶融したプラスチックを金型内に注入した後にかける圧力のことを指します

成形品に以下のような症状が現れたら保圧の設定を検討します。

 ・材料収縮によるヒケの発生

 ・ショートの発生

 ・変形の発生による寸法不良


下記の条件で設定を行う

計量値:●●mm 2次圧:20% 切替え位置:●●mm

保圧切替え位置は通常、金型キャビティの約95%〜99%が充填された時点で設定されます。この充填率は、CAEによる充填解析や経験に基づいて決定されます


今回紹介した条件設定は1形状、1材料、1成形機で決められた条件であるので

変化点があればそれに合わせて条件設定も変化させる必要がある。

条件を変化させる場合は、1ショットだけでは変化ははっきりと変わらない可能性があるので3ショット位は成形しておくこと。また、最後の1ショットだけを残し、マジック等で条件を成形品に記入することで適切な条件を導きやすくなります。

成形ショットごとに条件を記入してある画像

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