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射出速度の違いによる材料物性(引張破断伸び)の違い

前回は材料物性の成形品肉厚依存性についてご紹介しました。

今回は成形条件の1つである「射出速度」について変化させた場合に材料物性に与える影響度についてご紹介します。


実験方法

実験方法:試験片の作成

上記の寸法で射出成形平板を成形し、ダンベル形状で打ち抜き、引張試験片を作成する

射出速度は5mm/s、10mm/s、20mm/s、40mm/s、80mm/sの5条件で比較を行う。

材料は日本ポリプロ:BC03B(PP)を使用した。

打ち抜かれた引張試験片

               打ち抜かれた引張試験片

引張試験を実施

                 引張試験を実施

実験結果

射出速度の違いによる引張破断伸びの違い

引張破断時の伸び量で比較を行いました。

カタログ値をバージンとすると、射出速度が増加するほど引張破断伸び量が低下する傾向が確認できます。最も速い80mm/sではバージン材に比べ48%低下しています。

引張破断伸びの違い 考察

射出速度が速いほど材料物性、特に引張破断伸びが低下する原因としては、以下のような要因が考えられます。

  1. せん断加熱の増加: 高速で射出すると、樹脂がノズルやスプルー、ランナーを通過する際のせん断力が増加し、その結果、樹脂温度が上昇します。過剰な温度上昇は材料の劣化を引き起こし、結果として引張破断伸びが低下することがあります。

  2. 内部応力の増加: 高速射出によって樹脂が金型内で急速に充填されると、材料内部に高い応力が発生しやすくなります。この内部応力は材料の脆化を引き起こし、引張破断伸びが低下する原因となります。


成形サイクルの短縮は成形コストの削減に有効であり、ついつい射出速度や冷却時間を短くする傾向にあるかと思いますが、材料に加わるストレスが増加し思わぬ破損のリスクに繋がります。成形サイクルを見直す際はこのようなことも念頭に入れて検討しましょう。

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