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熱処理:焼入れ方法

鋼をAc3点以上の温度に加熱保持し、組織を完全にオーステナイトとした後、急冷すると

オーステナイトはフェライトとパーライトの変態をおこすひまがないため、過冷オーステナイトの状態のまま冷却を続け、ある温度に達するとマルテンサイトという極めて硬い組織に変態する。この温度は鋼の種類によって異なるが、構造用鋼では通常300~400℃であり

Ms点(マルテンサイト・スタート・ポイント)と呼ばれている。

このように鋼の組織をオーステナイトからマルテンサイトに変態させる処理を焼入れと呼ぶ。焼入れ組織であるマルテンサイトは笹の葉状の極めて硬い組織で、オーステナイトを急激に冷却したため、炭素がセメンタイト(Fe3C)となって析出するひまがなく、過飽和に固溶された状態となっているものである。焼入れによって得られる鋼の最高硬さは炭素含有量との関係もあって図①のように概ねC0.60%までは炭素含有量の増加とともに硬さは増し、以後はあまり変わらなくなる。

構造用鋼の焼入れ時の加熱温度は完全焼き鈍しの場合と同様で、通常Ac3点上30~50℃で。処理材の径25mm当たり約30分その温度を保持する。この後、油中に急冷する。(鋼種によっては水冷又は空冷することもある)この場合の加熱温度と保持温度は、特に重要な因子である。

加熱温度が高ければ高いほど、焼きは入りやすくなるが、焼入れの後のマルテンサイト組織は粗大となり、材質をもろくさせ、甚だしい場合は焼割れの原因ともなる。

逆に加熱温度がAc3点より低い場合は、鋼は完全にオーステナイトにはならずオーステナイトとフェライトの混合組織となる。したがって、この温度から急冷すると、オーステナイトはマルテンサイトに変態するが、フェライトは何の変態も起こさずフェライトのままであり

焼入れをした後の組織は硬いマルテンサイトとやわらかいフェライトの混合組織となってしまう。このことは焼入れをした製品の所々にやわらかい部分が生じて焼入れ本来の目的を達しないことになる。また、保熱時間についても鋼の中心部まで均一加熱が得られるに最適な時間を設定することが必要である。





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